冬の秋風
 


 衛が亞里亞の前で、サドルをまたぐ動作をして見せる。
 亞里亞はそれを真似る。
 しかし、亞里亞はサドルをまたぐ事が出来なかった。
「ぐらぐらするの……」
 涙声。
 衛はなんとも言えない苦い顔で千影に目を合わせる。亞里亞の自転車練習に 付き合わせてしまった事に、いささかの罪悪感を覚える千影。
 それでも、千影は衛を頼らざるを得なかった。
 甘やかしてしまいそうな自分を思い浮かべると、どうしても自分が 『とっても優しい姉や』モードに入ってしまった時でもしっかり指導してくれる 人間が必要だと思って衛を呼んだのだ。いわば衛は千影の命綱だった。
「がんばろう」
 アイコンタクトで、衛に伝えた。
「うぅ……」
 長い登山は始まったばかりである。
「亞里亞くん、それじゃあ私が自転車を押さえておくから……その時に乗ると良い」
 しっかりとタイヤを地面に押し付け、ある程度安定するようにした。
「……これなら乗れます♪」
「どう? 亞里亞ちゃん」
「……」
 微妙なバランス調整をしながら細腕を震えさせている千影の様子になど 気付くはずも無く、亞里亞は放心状態になっている。
 亞里亞の目の中に飛び込んでいるのはサドルをまたいだ時に見える、 自転車の『操縦席』からのビジョンだろうか。あの直線的で少し狭いラインが 展開される世界を、亞里亞は見ているのだろうか?
「どうだい?」
「……」
 亞里亞は黙って首を振った。まだ自転車の魅力には気付くはずも無い。
 車輪を転がしてからが自転車である。まだ亞里亞には、衛や千影が知っている ビジョンが見えていないに違いなかった。
「……それじゃあ千影ちゃん、ちょっと前の方に動かしてみない?」
 衛の言葉に頷いて、千影は亞里亞を乗せた自転車を動かした。
 最初は亞里亞が驚かないように、ゆっくりと車体を動かす。
 エンジンではない動力によって動く乗り物の心地に、亞里亞は最初驚いたようだった。
 乗馬の時とも少し違う、馬力未満の力にいささかの不安を感じたように表情を ひきつらせた。
「亞里亞くん、大丈夫……私は絶対に手を離さないよ」
「ほんとうに?」
「ああ、今はまだこれで良い」
「……それじゃあ、姉や、むこうのスズメさんの所まで行ってください♪」
 千影の言葉に安堵を覚えた亞里亞は、頬をほころばせた。
 自分の歩きより少しだけ早い自転車のスピード。ゆるやかな風に身を委ねる。
 衛の『それじゃ練習にならないんじゃないか』という視線に、少しだけ 詫びるような表情を返して千影は歩き出した。
 無垢に笑う亞里亞を見た。次第に高い所まで昇って来た太陽の光に頬が 照らされ、一瞬千影の視界が白む。
 ――この眩しい視界の白みを、兄くんも見たのだろうか?


*


 千影が自転車に乗った時は、亞里亞と同じ程の年の頃だった。
 普段家にこもりがちで、部屋のヌイグルミか置き物と会話するのが日常だった 千影を外に出そうという誰かの意図があったのか、一時期兄がよく遊びに来る 時期があった。
 千影は自転車を兄から教わったのだ。
 寡黙だった千影は、友人を持たなかった。
たまに新年会で咲耶と会う機会があってもお互い話す事も無く、それぞれ 勝手に遊んでいた。まともに顔を合わせるのは、兄を介しての時だけである。
 人懐っこく、親戚に可愛がられていた咲耶とは違い、千影は無愛想で 大人にも無愛想だった。心を許し切れない人間に対して持つ笑顔を、千影は持っていなかった。
 自分に与えられた子供部屋だけが自分の世界だった千影に、兄は外の世界を教える。
 兄が遊びに来たときだけは、千影は外で目一杯遊んだ。
 公園や天文台、木々の動きがきらめく散歩道、兄は千影を色んな所に連れて行った。
 幼い頃に見た空には、兄の姿が必ず映っている。
「あにくんと、もっともっと、遠い所に行きたい」
 ある日千影が兄に言った言葉だ。
 『ちか』と『あにくん』だけの世界があったら良いと思っていた。それがどこか、 途方も無く遠い所にある予感を千影は感じていた。
「うーん、でもそれだと、チカちゃんは疲れちゃうよ」
 幼い体全部を使って考えていた、あの日の兄の姿が忘れられない。
「自転車に乗れたら、チカちゃんも遠くに行けると思うんだけど……」
「じてんしゃ?」
 それがきっかけだった。
 その日から千影の自転車練習が始まった。
 兄のコーチのもとでの練習は、毎日ハードなものになった。
 元々運動神経は良い方ではない。というよりか、体の動かし方自体を あまり知らない千影にとって、自転車の練習は苦痛だった。
 何度も何度も転んでは起き上がる。
 ――これに乗るんだ、これに乗って、あにくんと二人だけの所に行くんだ。
 それだけが千影を立たせる理由。
 乗れなければ、自分一人が取り残されるような気がした。
 自分を残して、兄が自転車で自分の追いつけない所まで行ってしまう光景を 錯覚で見た千影は、夜中に静かに泣いた。
 それだけに、自転車に乗れた瞬間の千影の喜びといえば人生の中でも屈指の ものであったと言える。
 行けるんだ、これであにくんと遠い所へ……
 今まで自分に沢山の傷を与えていた自転車が初めて愛しく見えて、そっと フレームを撫でた。風を受けて冷えたフレームは冷たかった。
 近所の子供が乗りまわすようなスピードとエネルギー溢れる漕ぎ方を 千影はしなかった。
 ただゆっくりと自転車を通して受ける、ゆるやかな風を受けていた。
 ゆっくりで、少しだけ冷たくて。千影は秋風になったような気がした。


*


 練習コースを千影姉やの補助付きで回った亞里亞は上機嫌だった。
 千影も、自転車のゆったりとしたはやさに合わせてハミングする亞里亞に微笑む。
 向こう側では、衛と花穂が何か話している。じいやはいつのまにか屋敷に戻ったのか、 姿は見当たらない。
 衛の様子を見るに、いかにも暇潰しのような体で花穂と話しているように見えたので、
千影は少しあてつけがましさを感じた。しかし、それからすぐに衛を苛立たせているのは
自分である事に気付き、少しばつが悪くなる。
 行く時はゆったりと、戻る時は早足で、千影は衛の所に戻った。
「おかえりー」
 衛の笑顔が少し痛い。
「あ、千影ちゃん! あのね、さっきじいやさんがチョコレートをくれたの♪ それがすっごく甘くてね、たくさん貰ったから、後でみんなで食べよう?」
「カホちゃんもこのチョコ、好き? うふふ……亞里亞も大好きなの♪」
 少しだけ花穂の明るさに救われるような気がする。
「……そろそろ、本格的に始めよう」
「うん! それじゃあ亞里亞ちゃん……ボクはちょっとだけ厳しいからね♪」
 静の姿勢から動の姿勢に切り替わった時の衛は活き活きとし始めた。
「……きびしいの?」
「アハハ、冗談冗談。でも千影ちゃんよりはちょっとだけ厳しいかも」
「亞里亞ちゃん、衛ちゃんのコーチだったら絶対大丈夫だよ」
「ほんとう?」
「うん! 自転車なんてへっちゃらだよ? 花穂は自転車に乗るの、好きだなぁ」
「花穂くんにも乗れたんだ、亞里亞くんでもきっと……できる」
「あーっ! 千影ちゃん、ひどい! そりゃ花穂はいっつも、いっーつもドジだけど、 でも自転車は違ったよ? 花穂、これでも衛ちゃんより早く乗れたんだからぁ!」
「へぇ……」
「衛ちゃんと、どっちが早く乗れるか勝負してたの」
「花穂ちゃんは、ホントあの時頑張ってたから……」
「えへへ……あっ! それじゃあ、まずは練習の前に、亞里亞ちゃんにお手本見せてあげる!」
「おてほん?」
「そう、見ててね亞里亞ちゃん、これから向こうまで走ってみるから……」
 花穂は自分の自転車に乗り、勢い良くペダルを漕ぎ始めた。
 調子は上々で、亞里亞に色々な運転テクニックを見せるようだった。
 ジグザグに走ってみる。片手を離してみる(一瞬動きが怪しくなった) 更に片手でジグザグ(とても動きが怪しい!)
 そして両手……
「わわわわわわわわっ!!」
「見るなっ……!」
 咄嗟に千影は亞里亞の目に手を当てた。後ろから抱くようにして腕で耳も塞いでやる。
 亞里亞は突然の出来事に、何が起こったか把握できないようだった。
「……ふぅ……」
「か、花穂ちゃん、大丈夫!?」
「……痛くない、い、痛くないよ……?」
 流石に花穂が自転車からコケる瞬間など見せてはいけない。涙目気味の花穂の 姿が見えないように遮るように立つ。
「亞里亞くん、安全運転だ」
 千影はぎゅっと、力を入れた。
 ひとまず花穂に二回目の手当てをした衛が戻ってきた。
 呼吸の調子を整えるようにして、再び亞里亞に自転車に乗るように促す。
 やや疲れの陰を落とす口元。練習が始まる前から四苦八苦である。
「もう一人でも乗れるかな?」
 亞里亞は黙ってサドルにまたがり、両足を地に付ける。
「よしよし、飲み込みは良いね」
 これが最初からままならないというのは恐ろしい程の重症なのだが、亞里亞のペースに 徐々に慣らされて来た衛は、この進歩をひとまず良しとしたようだった。
「それじゃあ亞里亞ちゃん、ボクが手伝ってあげるから、ペダルをこいでみて?」
「……私に、何かすることはあるかな」
「うーん、とりあえず見てるだけで良いと思うよ」
 二人で手取り足取りでは効率が悪いとは思ったが、見ているだけというのは 歯痒かった。心配性な姉心というものが、千影にはあるのだ。
 亞里亞はペダルに力を入れる。流石に新品なだけあってか自転車のペダルは 滑らかに動き出す。
 先の姉やが引っ張ってくれる自転車の動きと違い、今度は亞里亞が自転車の動力に なる瞬間だった。
 初めて自分の力で動き出した乗り物に、亞里亞は少し戸惑うようにして 前かがみになり、地を見る姿勢になった。
 それから少しづつ視点は前方に向かう。スピードに慣れたのか、頬からは 緊張が見えなくなっている。
 若干おぼつかないハンドル操作はともかく、衛の補助付きでひとまず亞里亞は 自転車を漕ぐ事が出来た……とはいっても、本来ここからが本番である。
 しかし、亞里亞にとっては大きな一歩なのだ。
 千影は心の中で静かな喝采を贈る。姉バカだ。
 姉になってしまうと、同時にバカになるものだと思う。
 妹ではない千影がそこに居た。
「亞里亞ちゃん、それじゃあちょっとだけ力を抜くよ」
「えっ……」
 声を出したのは千影の方だった。亞里亞は言葉の意味をよく理解していないようで、 首を傾げた。
「ちょっとずつ、ちょっとずつ……」
「マモルちゃん、すごい、ぐらぐら……」
「大丈夫! しっかり前を見て、まっすぐペダルを漕いだら……ほら!」
 ……『ほら!』という風にはいかない。
 大きくハンドルが左右に動き、車体が傾いた。今度は千影が目を瞑る。
塞ぎ損ねた耳には、亞里亞の悲痛な声が響いた。
「……くすん、くすん……」
「ほら、亞里亞ちゃん、ダイジョウブ! 最初はこんなのでも、すぐに 出来るようになるし……怪我も無いからすぐに立てるよ」
「いや……とってもコワくて……」
「……うーん」
 千影が駆け寄る。
「亞里亞くん……どこか打ったのかい? 痛い所は?」
 黙って横に首を振る亞里亞。大きな涙目に、とても瞳を合わせる事が出来なかった。
「亞里亞は大丈夫……だけど、大丈夫じゃないの……」
 言わんとする事はわかる。千影は亞里亞の恐怖を感じ取っていた。
 千影は亞里亞のコンプレックスを知っている。自分が何も出来ないという事に 対する大きな引け目を知っている。自分がかつてそうだったように、亞里亞もまた 誰かに手を引かれなくてはどうにもならない存在……同じものだった。
 亞里亞が自転車に乗ると言い出した事に、どれだけの勇気が要ったかを千影は知っている。
 腰が引けて当然である筈の事をやろうとした時の亞里亞の勇気を、千影は知っている。
「大丈夫だよ亞里亞くん、キミはスグにできなくても良いんだ」
 いつか兄から聞いた言葉を、千影は亞里亞に言った。
『チカちゃんはチカちゃんができるだけ頑張れば良いよ』と、兄は言っていた。
「亞里亞くん、待っていてあげるから」
『チカちゃんが自転車に乗れるようになるまで、待っててあげるから』と、兄は言っていた。
「でも……」
 亞里亞は頑なに拒否する。
 脆かった。過去の千影よりも何倍も弱かった。
 硝子細工の人形のような亞里亞は、少しの傷も許されない。
 巨大な屋敷、大仰なドレス、彼女を取り巻く大人達。
 それらの全てが亞里亞を傷付けまいとするバリアなのだと千影は思った。
「乗れない、亞里亞やっぱり、自転車……乗りたくないです……」
 ……人形は、人形のままでいなくてはいけないのだろうか?
「亞里亞くん……」
 千影の言葉は続かない。紡いだ言葉が出てこなかった。
 亞里亞が自転車に乗る事が出来れば何か変わるかもしれない、だから乗るんだ…… そういう言葉を上手く言えない。千影もまた、亞里亞を傷付ける事を 恐怖する人間だった。
 言葉を失った千影に、もどかしそうな衛。それを尻目にして、亞里亞は駆け出した。
倒れた自転車を放って屋敷の中に入る。衛は「あ、亞里亞ちゃん!」と慌てて咎めたが、 追いはしなかった。
 花穂は心配そうに亞里亞の背中を見送った。
 ゆっくりと歩を進めるのは千影。
「ここで亞里亞くんをそのままにしていたら、ずっと籠の中の小鳥と同じじゃないか……」
 千影の足取りは、昔の兄のものと重なるのだろうか。
 亞里亞が飛び込んだ、裏口にあたる扉を開く。
 静かな館内に人気は無い。ただ亞里亞の小さな泣き声だけが千影の中に響いていた。
 冬の小雨のような日差しが薄暗く照らす館に、落ち込んだ色の影がさしている。
 こんな所に亞里亞は閉じ込められているのだ。寒過ぎる金庫ではないか。
 行き先は決まっていた。
 千影は亞里亞に、確実に接近している。
 あの部屋のカーテンの裏、悲しい亞里亞はいつもそこに居る。
 けれどそれからどう声を掛けてやれば良いだろうか?
 まだ弱い私が、誰かに光を入れる事などできるのか?
「千影なんて名前……」
 弱さは悲しい。
「だけど」
 次は千影が、妹に外を見せてやる番なのだ。
「亞里亞くん」
 扉を開く。
「姉や……くすん……来ないで」
「いや、私は亞里亞くんから離れないよ」
「姉や、亞里亞はもう良いの。自転車なんか乗れない、悪い子です……」
「……」
 違う! と、大声が出せない。不器用な勇気が、もどかしい言葉を紡ぐ。
「でも私は、亞里亞くんを嫌いにはならないよ」
「……くすん……」
「私はどうすれば良い?」
「……亞里亞から離れないで」
 『来ないで』でも『離れないで』。
「ずっと傍に居るから」
「……どこにも行かない?」
「ああ」
「うそ、姉やはきっと、どこかに行っちゃうの」
「どうして?」
「お庭のちょうちょさん、どこかに行っちゃった」
「私は蝶ではないよ」
「姉や、置いて行かないで……くすん」
 『置いて行かないで』。
 千影の胸が詰まった。いつか自分が思った言葉だった。
 強く、強く抱き締めた。
「亞里亞くん、自転車に乗ってどうしたい?」
「……姉やと一緒に、遠い所に行きたいです」
 熱い吐息が千影にかかる。亞里亞の言葉は締め付けるようだった。
 亞里亞が過去の自分とぴったり重なる。
「信じてもらえないだろうけど……私は待っているよ」
「……」
「今すぐじゃなくても良い。どんなに時間が経っても良い。 亞里亞くん、私は……亞里亞くんと同じ魂を持っているんだ」
「姉やは、亞里亞とおんなじなの?」
「だからずっと離れない」
「姉や……」
「もし亞里亞くんが自転車に乗れるようになったら……一緒にどこかに
行こう。兄くんにも見せてあげよう」
「兄やにも?」
「きっと驚くよ、それに喜ぶと思う」
「兄や……うふふ、ステキね♡」
「私だけじゃない、兄くんだって待ってくれる。みんな亞里亞くんが大好きだ」
「……みんな?」
「誰も置いて行かないよ」
「……」
 亞里亞の息は、まるで寝息のように落ち着いた。
「自転車の練習は、また来週にしようか?」
「……ううん、亞里亞、また練習します」
 一歩、亞里亞が踏み出した。
 館の廊下が明るい。


*


 ――カーテンの隙間から月夜が漏れる部屋。
 底冷えする空気に触れないように、千影は毛布に身を包んだ。
 毛布の中に溶けて行くようにして目を閉じる。足が甘く痺れた。
「筋肉痛にならなければ良いが」
 今日は頑張った。
 あれから亞里亞は、また何度も転んだ。怪我こそ無かったが、それでも 何度か体を打った。痣になっているかもしれない。
 衛と花穂も、それぞれ工夫して亞里亞の練習に付き合った。花穂は昔自分が 自転車の勘を掴む為に補助輪を使った事を思い出し、補助輪を付けたり 外したりする練習風景になった。
 結局、亞里亞は今日一日では自転車に乗る事が出来なかった。
 けれど千影はそれでも良かった。いつまでも待つつもりである。
 衛も花穂も、何だかんだといっても、きっと亞里亞の所にやってくる。
 亞里亞は亞里亞なりに、乗れるようになってくれれば良い。
 次の練習の時の亞里亞と自分を思い浮かべて、千影はそっと目を閉じた。
 亞里亞が笑っている。千影も微笑む。
 二人は自転車に乗って屋敷を飛び出し、色んな道を走る。
 運転がまだおぼつかない亞里亞に合わせて走る。
 ゆっくり走ると、風は優しい。
 亞里亞と走る時は、また特別時間がゆっくり流れて行く。
 ゆるやかな涼風を受けて走るのは、秋風の姉妹。
 秋風の姉妹は、冬の道を進む。
「姉や、とっても気持ち良いです♡」
「これから、もっと遠くに行こう。色んな所を見せてあげる」
「どこへでも、ずっと一緒ね……姉や?」
「ああ。いつでも亞里亞くんは、私の所に来れるさ」
「うふふ……姉や、大好き♡」
 少し恥ずかしくなって、頭の中に浮かぶ想像の雲をかき消した。
 明日は自転車を磨いてやろう、と、千影は思った。


Fin




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